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2021.11.25 02:15
十日夜
十五夜や十三夜は今でも広く親しまれている行事ですが、十日夜(とおかんや・とうかや)はあまり耳にすることがなくなりました。月を愛でるというよりその年の稲の収穫に感謝するという意味合いが強いため、今の生活には実感が伴わないのかもしれません。旧暦の10月10日は稲刈りが終わり田の神が山に帰る日。人々は、たわわに実った稲穂の刈り上げを終え、また来年も豊かな恵みがありますようにと祈りました。お餅や里芋、大根などのお供え物をしたり、過ごし方は地域によって様々にあったようです。行事はなくなっても自然の恵みに感謝する気持ちは忘れてはいけないことですね。
2021.10.28 00:54
勝虫
日本ではとんぼは縁起の良いものとして扱われてきました。古くは弥生時代の銅鐸にも刻まれています。素早い動きでまっすぐ前にしか進まない姿は武士にも好まれ、勝虫(かちむし)と呼ばれました。兜や刀の鍔など武具に広く取り入れられています。庶民の間では着物の文様として様々なデザインがありました。江戸小紋や絣の柄をよく見ると思わずとんぼを発見することがあり、日本人のデザイン力に感心してしまいます。小さな昆虫にも心を寄せる日本人ならではの感性ですね。
2021.09.07 23:22
重陽
この世のありとあらゆる物は相反する陰と陽の二つに分けられるとする陰陽思想によれば、数字の奇数は陽、偶数は陰とされます。九は陽数の極であり、九月九日は九が重なることから「重陽の節句」として昔からおめでたい日とされてきました。菊の強い香りで邪気を避け、不労長寿を願い、寒さに向かって無病息災を願う別名「菊の節句」でもあります。旧暦の九月九日は今の10月中旬になるでしょうか。菊の花も見頃となるのでしょうが、今の九月九日は残暑厳しく台風の恐れもある頃。なかなか美しい菊をめでることはかなわず、季節も合わなくなりました。しかしながら、確実に日の傾きは早くなっており朝晩の空気が夏のものとは違ってきているのを実感するのもこの時期。時折吹く風の中にかすかな秋を感じる頃でも...
2021.08.10 03:21
涼を求めて
地球温暖化による気候変動は、私たちの暮らしに容赦なく試練を与えています。 最高気温が30℃以上となる真夏日が年々増加し、夏は楽しむよりも耐える季節になってしまっています。 今の季節は夏休み、お祭り、花火…日本を満喫できるシーズンであったはず。 夜も気温の下がらない毎日では外出もままなりません。 せめて部屋の中に涼を感じるアイデアを絞りたいと思います。 水と緑は目に涼やか、相性抜群です。 植物は水に生じられすくすくと成長し、やがて花を咲かせ実を結ぶ。 静かな命の流れを感じます。 私たち人間も自然界にダメージを与えるのではなく、共生する道を真剣に考えなくてはなりません。
2021.07.27 00:32
甘酒
江戸時代の商いには楽しいものがたくさんあります。子ども相手に「しゃぼん玉売り」、蛍や鳴く虫の「虫売り」、涼を感じる「金魚売り」などなど様々な物売りが街を賑わせていたようです。中でも夏の「甘酒売り」はたくさんの人に喜ばれたのではないでしょうか。麹を発酵させて作る甘酒は栄養満点で、夏バテ対策にぴったり。暑気あたりによく効いたことでしょう。高温多湿な日本の夏は麹菌の発酵に最適です。日本人は古くから目に見えないものとのつきあいが上手だったのですね。
2021.06.14 02:16
夏越の祓
大掃除というと年末のことですが、最近は春から夏になる前の間にする家庭も増えているようです。 特に台所の大掃除は水温が高い季節にしたほうが油汚れが落ちやすく、手荒れも少なくて済むので合理的といえるのではないでしょうか。 夏の風物詩に夏越の祓があります。 6月末に半年の間に身に溜まった穢れを落とし、残り半年の息災を祈願して神社の境内につくられた茅の輪をくぐる。夏祭りのひとつとして楽しみにしている人も少なくないでしょう。 今の季節にいつもよりちょっと手をかけた掃除をすることは、夏を元気に乗り切るためにもきっと役立つと思います。
2021.05.11 02:06
杜若
からころも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞおもふ ー何度も着て身になじんだ唐衣のように長年なれ親しんだ妻を残し、こうして遠く旅をしているわびしさをしみじみと思うー かきつばたが美しく咲くのを見て、旅の心を詠んだ在原業平の歌です。歌の各句の頭文字を取ると「かきつはた」となる折り句の技法が使われています。 何度も着ることで身に馴染む…まさに紬がそうです。手仕事の極みともいえる紬は着れば着るほど体に馴染み、長く付き合うほどに親しみや愛着が沸くもの。ファストファッションの対極にあるものです。
2021.04.16 01:19
柳
柳の緑が美しい季節になりました。燕の飛来も見られます。 「柳に燕」は仲の良いもの、調和のとれたものとして日本の紋様に広く親しまれてい ます。  また、柳は邪気を払う神聖な木として魔除けや鬼門封じに使われてきました。  その威力は江戸城築城の際、太田道灌が鬼門となる神田川堤にたくさんの柳を植えた ことから江戸の町は長く栄えた、といわれるほどです。  柳緑花紅 (りゅうりょくかこう) 柳は緑色をなすように、花は紅色に咲くように、この世のものはそれぞれにちがうもの。  全てのものをありのままに受け入れようという禅語です。 自然の美しさを感じ心穏やかに過ごせる毎日に感謝。
2021.04.01 00:18
山笑う
雨のあとの空気が暖かくなり地面がうるおい、草木が勢いを増して芽吹き花が咲き乱 れる季節になりました。 故郷やどちらを見ても山笑ふ (正岡子規)  春の季語にある「山笑う」ですが、夏は「山滴る」、秋は「山粧う」、冬は「山眠 る」になります。  日本人とって山は信仰の対象であり神聖なものですが、一方で季節によって姿を変え まるで生きているもののように親しみを感じてきたのだと思います。  都会に住み慌ただしい毎日を過ごす現代人にとって、山は身近なものではないかもしれません。  しかし、山の恵みを受け心の拠り所としてきた古の人たちの感性は見習いたいもので す。 
2021.03.18 01:56
和の香り
遠い遠い昔に淡路島の海岸に流れ着いた香木が日本の香りの起源とされています。 邪気を払う宗教儀式に使われ、やがて平安貴族の遊技となり、武家の時代になると香道が生まれました。 今は核家族が増えお仏壇のない家も多くなりました。 お線香に触れる機会は減りましたが、強すぎる合成香料が溢れる昨今において穏やかで神秘性のある和の香りに惹かれる方も増えています。  和の香りは長い歴史とともに、私たちの暮らしに安らぎとうるおいを与えてくれます。
2021.03.09 13:20
弥生(やよい)
旧暦では3月を弥生(やよい)といいます。暖かくなり草木がいよいよ生い茂る月、いやおい→やよい。日本古来の時間軸ともいえる旧暦(太陽太陰暦)を意識すると、自然の摂理を直に感 じることができます。植物や動物の営みが身近になり、知識ではなく実際に目にしたこと、感じたことの答え合わせをするような楽しみが生まれます。旧暦は難しいものではなく、自然に寄り添う暮らし、日々を心豊かに過ごすためのツール。季節感覚を取り戻し、自分らしさを大切にするライフスタイルにとても相性がよいと思います。
2021.02.23 01:03
沈丁花
甘い香りを放ち春の訪れを告げる沈丁花(じんちょうげ)。初夏の梔子(くちなし)、秋の金木犀(きんもくせい)と共に「三大芳香花」のひとつです。日本へ渡来したのは室町時代のこと。香木である「沈香(じんこう)」と「丁字(ちょうじ)」を合わせるほどの香りがあるとして「沈丁花」と名付けられたとか。花の香りが遠くまで届くため「七里香(しちりこう)」の別称があります。 

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